オランダのアーティスト『テオ・ヤンセン』をご存知でしょうか?
シャンティは札幌にいるのですが、ついに札幌にもテオ・ヤンセンの展示が来たので、すぐ行きたいのを我慢して最終日に行きました笑 (住んでる場所から遠くて億劫になり最終日に重い腰を上げました。)
今回は、テオ・ヤンセンについて、作品を見た感想と札幌では終わりましたが、巡回展であなたの街に来た時は是非見てほしいという気持ちから書きました。面白い展示なのでおススメです。
テオ・ヤンセンとは、
テオ・ヤンセンは、オランダのキネティックアーティスト&物理学者です。
1948年オランダのデン・ハーグ、スヘフェニンゲンで生まれました。1968年、デルフト工科大学で物理学を学び1975年に画家に転向。1990年、風力で動作するストランドビーストの制作を開始。現在までアートと科学が融合した多くの芸術作品を制作している。「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称されたアーティスト。
2010年には日本で最初の「テオ・ヤンセン展」が日本科学未来館など日本各地で開催された。先日まで北海道札幌の芸術の森にて展示が開催され、次回は福井に巡回予定。
テオ・ヤンセン展ストランドビースト紹介。
今回札幌の芸術の森で行われたテオ・ヤンセン展でやってきたストランドビーストは13体でした。全部ではないですが、どんなストランドビーストが来ていたか紹介したいと思います。
「ストランドビースト」とは、オランダ語の砂浜(Strand)と生物(Beest)を組み合わせたヤンセンによる造語です。
アニマリス・リジデ・プロペランス
これは、後部にプロペラが取り付けられていて風向きに逆らい早いスピードで横方向に進むヤンセンの年表によるとタピディーム期の化石(すでに動かない)とされています。初期の様ですがかなり緻密ですね。
アニマリス・ペルシピエーレ・プリムス
2006年セレブラム期に作られたストランドビースト。前方に水を感知する器官が付いていて風に飛ばされない様に重りも完備している。
アニマリス・プラウデンス・ヴェーラ
全長9m。帆船をイメージした作品。2013年アウルム期 複雑でこれが本当に動くのかと思う造形物。しかしこれが動くんです。まるで歩行するかの様な動きに驚きました。
アニマリス・オルディリス
今回の展示で唯一触れる事が出来たストランドビースト。小型で前に後ろにと動かす事ができる。
アニマリス・アデュラリ
こちらも動いていたストランドビースト。2012年のアスペルソリウム期に作られた作品。二体のビーストがまるで愛情表現をするかの様な可愛い動きをします。
アニアリス・ウミナミ
2017年ブルハム期の作品。キャタピラの様な体が特徴で芋虫みたいな感じに見えます。
アニマリス・オムニア・セグンダ
全長12m。日本初公開の超大型ビースト。
アニマリス・ルゴサス・セグンダス
アニマリス・カリブス
アニマリス・ヴェルミキュラス
アニマリス・ペルシピエーレ・エクセルサス
中庭にいた一体。全長15.5mという大きさ。圧巻ですよね。
ストランドビーストの材料
ストランドビーストの材料は、材料としては、プラスチックチューブ、ペットボトル、結束バンド、ウレタンチューブ。ホーマックにでも行くとある様な材料というのが驚きです。
材料は至ってシンプルですが、筋肉や神経細胞、脳など様々なパーツを持つ『ストランドビースト』テオ・ヤンセンが亡くなった後も独自に自立し砂浜で生きることを目指し、歩行のほかにも方向転換や危険察知などの能力を備えている。
ストランドビーストの仕組み
先程、材料はプラスチックチューブ、ペットボトル、結束バンド、ウレタンチューブと説明しましたが、これをどうやって動かすのか?これが最大の疑問になります。
実は、これを知ったとき、これは錬金術の一種かとも思いました。ストランドビーストの歩行メカニズムには、テオ・ヤンセンが試行錯誤して完成させたホーリーナンバー(聖なる数)と名付けられた13の数字で構成されているのです。
パイプの長さや位置は、ヤンセンが1500通り以上の組み合わせを古いコンピューター上でシュミレーションして完成しました。
材料は至ってシンプルですが、筋肉や神経細胞、脳など様々なパーツを持つ『ストランドビースト』ですが、テオ・ヤンセンが亡くなった後も独自に自立し砂浜で生きることを目指し、歩行のほかにも方向転換や危険察知などの能力を備えています。
テオ・ヤンセン展を見た個人的感想
テオ・ヤンセンが創り出したストランドビーストですが、初めて目の当たりにすると圧倒されましたね。
まず、私が感じたのは、あまりにも緻密に計算された作品ということです。さすが物理学者とも言えますが、独自の計算に基づいた造形と部品、ギミックは美しくアーティスティックでストランドビーストの造形美に反映されています。
これまで制作した過程で、まさに生物が進化したかの様な試行錯誤の跡が見て取れる。
この系図は、アートから生物へと昇華された華麗なる証拠と言えるでしょう。そして、ストランドビーストの死も面白いです。ストランドビーストは、砂浜で動かす過程で修理を加えつつ自由に自然の中で稼働させる。そうしている内に動かなくなるとそれが死とされ化石と位置付けられます。
そう、人間の死とかなり類似しているのです。時が経ち身体が衰え死に行く…。
儚くも叙情的でその過程は、人間を感傷的にすらなる可能性があります。細胞の集合体ですら無い無機物な物体とは思えないですよね。それ位、不思議と愛おしくなるそれがストランドビーストではないかなぁ、現地で見て動きギミックを見た率直な感想です。
もしあなたの街にストランドビーストが現れたら是非遊びに行ってください。
また2011年には、大人の科学マガジンからミニストランドビーストが作れる書籍も販売されていました。(現在絶版でプレミア価格につき注意が必要です。)
テオ・ヤンセン展(会期はすでに終了しています。)
会期:2019年7月13日~9月1日
会場:札幌芸術の森美術館
住所:札幌市南区芸術の森2丁目75番地
電話番号:011-591-0090
開館時間:9:45~17:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 1300円 / 高校・大学生 800円 / 小・中学生 500円
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