皆さんの中で古本屋になりたい!って思う方はいるでしょうか?
この記事を読もうと思っているなら興味はあると思います。
シャンティ(@asiameisou)は、かれこれ20年以上古本屋としてお仕事をしています。そんな私が今回は、古本屋になりたい方に向けて、古本屋になるまでに考えるべき心構えを記したいと思います。
さて…。一般的な方から見た古本屋はどんな感じで見られているでしょうか?
最近だとよく言われるのは…。
古本屋って良いですよね!
古本屋さんってお洒落ですよね。
古本屋さん憧れます。
おっおう…。
近年の古本屋のイメージって一般の方からするとかなりボワっとしたイメージなんだなと感じます。お洒落にディスプレイされた綺麗で見栄えの良い装丁の本を棚に並べて、セレクトしたお洒落な雑貨やカードを置いて、お客様に見てもらう。そんな以前とは、違うイメージに変化しているのかもしれません。
はたまた人に寄っては、従来のイメージでお爺さんが奥で椅子に座って本を読んでいるイメージか…。本が積まれて本に囲まれて良い商売ですよね。とよく言われます。これは、社会から見たら楽に趣味に生きている楽しい人生を送っている人物に見えるかもしれません。
…。う〜ん、残念ですが、これは幻想に過ぎません。
これを読んで古本屋にまだなりたいと思った方は、確実にオススメできる職業ですので、応援します!
古本屋の仕事は地味です。
古本屋は、お洒落な仕事ではありません。
古本屋は、毎日入ってきた本を棚に並べるために準備をします。拭き掃除、汚れを落として時には、線引きされた本に消しゴムを掛けたり、状態の悪い本の修復を試みたりして棚に並べる作業が1番時間のかかる仕事です。
お客様から買取の依頼が入り出張買取に向かうのも大きな仕事です。店頭までわざわざご来店頂けるお客様もいらっしゃいます。やはり本の査定には、1番気を使います。
そして、販売。店頭に来たお客様が棚の本から気に入った一冊を買っていって頂く。ここには接客の力が大変重要です。私は、個人的にお客様とお話しするのが好きなので、よく会話をさせて頂きます。
最近だと、ネットでの販売が大部分を占めます。その為、営業時間の大半をネットへの出品や発送、梱包の作業に費やす日も多いです。
上記からもわかるように仕事全てが地味な作業です。お洒落な部分なんて実は、1ミリもありません。
古本屋になる条件。
古本屋になりたい!古本屋さんって素敵!
憧れから古本屋を志す方もいると思います。
古本屋になる。重要な条件があります。
- 本が好き!!!
- 本が好き!!!
- 本が好き!!!
この3つになります!って同じやないか!
はい、正直これが1番です。本が好きってのが第1条件にして重要です。それと共に継続する力のある人、日々本について知識欲のある人、本という物質を愛している人。
好きって気持ちは本当に素晴らしく、私もこれまで続けて来た理由は、本が好きで特に古本という物に対して好きで好きで堪らないからなのです。
しかし、古本屋になる条件は、これだけでは実は足りないのです。
この足りない部分は、仕事をすれば後から付いて来るものです。その為、最初は、単純に古本が好き本が大好きって気持ちだけで古本屋になれる理由となります。
足りない部分は、知識です。これは、本の内容はもちろんですが、どれだけの本と対峙したか?っていう部分に該当します。これは、経験です。なので一夜ずけで本に対する知識は付く訳ではありません。
そして、本に値段をつける。この部分に関しても経験による結果でしかありません。ただ値段については、インターネットの市場を見ればどんな素人でもある程度予測は立てられます。しかし、基本的には、古本の価値というのは、時代時代で変化するものですので、常に勉強するしかありません。
古本屋の過去と現在
古本屋という商売は、ここ20年で大きく変化しました。私が働き始めた時期は、まだまだインターネットも乏しく本を読む事に時間を費やす人も沢山いらっしゃいました。そして、店頭に本を置いておけば難しい事を考えなくても売れていく時代でした。
しかし、現在の業界は、以前の様に本が売れる時代ではありません。お客様も昔ほど多くはないので、どんな古本屋もインターネットでの販売をしています。店頭では、足を運んで頂く為にSNSを駆使し試行錯誤を重ねます。規模にも寄りますが、小さい店は生き残りに必死になるしかありません。
現在の古本屋の形態として、店舗型に拘るメリットは無いと言えると思います。現実店舗を閉めてネットonlyで営業している古本屋は少なくありません。ただ私はどちらも経験がありますが、味気ないですよね。商売として、それが純粋な店舗をする理由です。
古本屋は儲かる?
ここまで読んで頂けたらわかると思いますが、古本屋は儲かりません。商売として、成立しない訳ではありませんが、相当上手く立ち回れないと確実に辛い事になります。
しかし、儲からない訳ではありません。
古本屋をする人物に継続と努力、そして愛嬌があれば話は変わってきます。ネットを十分に活用。蓄積した人間関係の構築。そして、お客様から愛される人柄。最後は、運です。
ある程度これがあれば、応援してくれるお客様が出来て小さな古本屋でも継続が可能です。まぁこの部分に関してはどの商売にも当てはまりますね。
古本屋で1番重要なのは仕入れです。
古本屋で1番重要な部分それが本の仕入れです。
先で述べた様に昔よりも本を読む層は減っています。以前の読書層は、確実に今の高齢者です。これが古本屋のメインターゲットになります。ただ今は若い人にも本を読んで欲しいと思いターゲットを変化させる様に努力をしています。
当然ですが、世間では言われている様に書店の閉店も相次いでいます。これでわかりますが、本が売れていないから書店が潰れます。本が売れなければ古本屋は、お客様から本の買取も必然的に減っていきます。
買取する本が減少すると棚に並べる本に変化が生まれなくなります。当然、古本屋に来るお客様がそんなつまらない棚を見に来ません。
古本屋をするには、死ぬ気で仕入れを考えなければなりません。
買取するには2つのルートがあります。
- お客様からの買取
- 組合での競り
複数の仕入れルートがあると商売として安心です。
古本屋になる準備
古本屋になるのにどんなプロセスが必要か?
まずは、本を集めましょう。最初は蔵書で構いません。主人の趣味が丸わかりな方がお客様は楽しんでくれます。
最初の目安としては、1000冊が基準です。これを多いと感じるか少ないと感じるか私にはわかりませんが、私は凡そ5000冊の本からスタートしました。
この数字の理由として、まず言えるのは、個人で集めた本はあくまで個人の嗜好で集められた物ですので、不特定多数のお客様全てに当てはまる訳ではありません。その為、1000冊あれば100冊しか最初はお金にならないと考えた方が良いです。
この100冊であなたは、いつまで生活できますか?
正直、ありえませんが、1冊1000円だったとして売上は、10万円ですよね。毎日コンスタントに売れたら良いですが、それは現実難しいです。最初に売れない本は、時間をかけてゆっくり売るしかありません。欲しいお客様が完璧なタイミングで来店してくれる事は無いのです。
少なくとも冊数は必要です。
次は、古物商の免許です。これが無いとお客様からの買取は出来ません。警察署に行って取得しましょう。
店舗での営業を考えているなら、最初の段階で経費を考えなければなりません。箱を借りるお金、棚を買うお金、必要なのはこの位だとは思いますが、お金が無いなら最初は、インターネットでの販売をオススメします。
商売をするのに、最初沢山お金をかければかける程、集客、広告、店舗の見栄えを良くできます。しかし、最初にお金があればの話です。
まずは、インターネットを使い自分の部屋でリスクを少なくしてスタートしましょう。その内、リアルなイベントに出店して色々挑戦してみると新しい展望が開けるかもしれません。
まとめ
古本屋になるのに必要なのは、好きな気持ちが第一条件です。
次に自分が魅力的な人間か?商売に愛嬌は重要です。人間関係、お客様との関係、常に努力と継続を意識する必要があります。そして、運。運というのは、その人間に付いているものです。生活や行いにより自ずと運が纏わりつきます。良い運も悪い運も全部自分次第です。
実情、商売として古本屋を選ぶメリットは無いと言えます。
ただ、本が好き。接客が苦じゃ無い。この空間が自分にとってこの上なく幸せだと思えるならこんな天国の様な仕事はありません。本を愛して書物という文化に敬意を表してお仕事出来る方なら、絶対続けることが可能だと思います。
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